資金不足の原因と対処。資金ショートの回避方法
資金不足の原因と対処法
月次試算表では黒字(orトントン)なのにお金が足りない
原因は何か?貸借対照表の資産の部からそれぞれの内容を見てみましょう
- 売掛金の増加
・回収までの期日が長い
・・・回収期間の短縮交渉 仕入原価支払期日の延長交渉
・回収できない売掛金が増えている
・・・どうしても回収不能なものは早めに帳簿からおとす
(売上との勘違いをなくすため) - 棚卸資産の増加
・仕入と生産量調整をする
・在庫の処分
在庫は決算書上、資産扱いとなるため、経営判断を誤らせるので早めに帳簿からおとしましょう - 前払金の発生
・なるべくなくすようにする
サービス提供後に支払をするようにする - 固定資産が過大
・設備投資に金をかけた結果、過剰な投資だった場合は、売却の検討や、リスケジュールの必要がでてきます 。
純利益がゼロに近ければ、資金繰り不足がちはあたりまえ
勘違いの原因は、「収入=収益」「支出=費用」と考えるから
対策は、利益を上げるしかありません!!!
- 売上を上げる
競合など外部要因が多く、すぐにはできない。でも、しなければならない。 - 原価・費用を下げる
リストラ、経費節減など自社内だけで結果を出せる。
ここで有効な広告費を削ってしまうのはNG!
試算表がトントンの場合は、将来的には資金繰りが悪化する可能性が高いです。トントンなら融資を受けられる可能性が高いので、リストラやビジネスモデルの改新など、計画をたてた上で資金調達をするとよいでしょう。
リストラなしで資金調達してしまうと、借入金だけが多くなり倒産への道をすすむことになります。
試算表も赤字で資金も足りない
小手先の改善ではムリ。事業の改善が必要
粗利益率の増加
売上の増大
短期的で急激な売上増大は資金繰りが悪化してしまう可能性大。
粗利益率={粗利益(売上-売上原価)}÷売上×100%
事業の根本的スタイルの見直しや諸経費、既存借入金の見直し(リスケジュール)が必須です
資金ショートを回避する方法
取引先が倒産して、資金ショートしそうな場合
回収していない取引先が倒産するなどして、『売上→貸し倒れ→運転資金の不足』ということがおきることは、よくあります。どのようにしてそういう状況を回避することができるのか考えてみましょう。
最優先課題は運転資金の確保
- 自社のメインバンクに相談する
- 日本政策金融公庫(取引先倒産時の貸付金制度がある)
- 各都道府県、市町村(取引先倒産時の融資制度がある場合がある)
予防措置
- 与信管理をしっかりとしておきましょう
取引先企業の信用度をはかる。取引量を決めて管理する。
限度額は相手先の決算書を見て決めるのがいいが、見られない場合も多いので、与信ルールを決める。
・過去の取引状況、信用情報を参考にしたり
・営業マンからの情報(社内雰囲気、社長の態度など取引状況先の現場)をみる - 中小企業倒産予防共済(資金面の予防)というものもあります
・5000~8万の間で毎月掛金しておくと、取引先が倒産したときは、スグに融資をうけることができる制度です。これは貸付期間や貸付条件が優遇されています。
・一時貸付金制度を利用すると、取引先が倒産していなくても、解約払戻金の範囲内で臨時に融資を受けることができます。
1.2.のどちらの予防措置も、結局は、お金を借りることになるので、返済していかなければなりません。急場をしのぐことはできますが、しっかりと事業を行っていないと、連鎖倒産を余儀なくされます。
売上が増加したのに資金ショートしそうだ
売上の増加によって、仕入・製造原価・人件費の増加がおこります。
売上と仕入れなど、どちらの現金収入、支出が早いかによって、資金ショートの危険があります。
通常は、売上の入金より、仕入・原価の支払期日が早いことが多いので、現金がないっっ!!ということになります。
対応策としては、以下の2つがあります
- 取引先との支払条件の交渉
単価、支払条件をよくしてもらう。 (支払期日の延長、全部又は一部の手形決済など) 取引量も増えているでしょうから、応じてくれるかもしれません。 - 銀行から融資を受ける
前向きな資金調達なので、スムーズにいくことが多い。 数字の裏付けはしっかりしましょう。 資料をきちんと揃えましょう(資金繰り表を作れ!) 過去の決算内容が悪すぎる場合は、最近の月次試算表も提出するようにしましょう。
売上が減少して資金ショートしそうだ
売上減少の理由によって、対応策は異なります。
- 季節変動の場合
・短期の「季節資金」の融資を考えましょう
・季節変動が理由であることを裏付けるしっかりした資金繰り表、返済計画書などが必要(売上回復見込がることを証明しよう) - 業績不振の場合
業績回復の努力(経費削減、売上増、利益率アップ、リストラなど)が明らかになる経営改善計画をたてます。→返済可能根拠を明確にしていく。
なるべく長期での返済が望ましいですが、しっかりと、状況分析をした上で融資をうけることが必要です。
資金がない!場合
借入金の返済ができないかもしれない
借入金の返済は、原則として純利益から出すので、返済額以上の利益を出すことが必要です。 返済できなくなったときに、単純にもう一本借入れをしてしまうと、状況は悪化の一途をたどることになります。
では、どうするか?
- 信用保証協会の借換保証を使う。
信用保証協会には、借換保証制度があり、その内容は、
・既存の保証付借入金を借り換え(又は複数の保証付借入金を1本にまとめ)
・返済期間を最長10年まで延長させ、月々の返済額の軽減を図ります。 - 銀行に反復融資をお願いする。
☆売上が維持できているor売上が増加しているときのみ運転資金を借りることができます
《売上が落ちていたら使えない》
→新たな補充資金が売上減少分の補填資金となってしまうから銀行の審査が通らない。
《借入資金が設備資金でも使えない》
→当初決めた投資計画に基づいて、利益の中から返済しなければいけない。 - 他の銀行で借り入れ、既存融資を返済してしまう。
☆どの方法をとったとしても、追加融資後の返済額を現状以上にしてしまわないことが重要です。
税金を滞納してしまうかもしれない
税金より仕入先に支払いたい気持ちはわかりますが、税金を放っておくと大変なことになります。
税金滞納のリスク
- 滞納処分
民間どうしでの処分とは違い、とても短期間のうちに差押えをされてしまいます。
税務署から差押えを受けて倒産してしまう会社もあります。 - 銀行からの融資がおりなくなる
特に消費税の滞納は要注意です。
どうしたらいいか?
・税務署に相談して分割払いにしてもらう
・税金を手形で支払う(相談の上で)
税務署に待ってもらっている間に、融資を受けたり収益改善するなりして、資金繰りを正常に戻します
保証金を積め!と言われた
大企業と取引していると、保証金を求められることがあります。(中小企業の与信管理がかなり厳しいため)そして、取引が続く限りこのお金は戻ってきません。
どうするか?
- 銀行から長期借入をおこす。 (長期の収益見込、利益から返済する計画をたてる)
- 支払サイトを短くしてもらうことができたら取引先にお願いする。
借金して保証金を入れたら、必ず、社内効率を見直すことが必要です。(経費節減、在庫管理、収益率増加など)
取引先から入金されず不渡りを出してしまうかもしれない
決済資金が不足していることに気づいたときには、もう、時間がない!という場合
本来、「資金不足」も、それに「気づくのが遅いこと」もあってはならないことです。なるべく、1ヶ月前には気づけるような仕組にしないといけません。そうは言っても、すでに時間がなく、倒産してしまうのでなんとかしたいなら・・・
急場しのぎは
- 売掛金担保でつなぎ融資の申込
入金が遅れている売掛金を償還財源として、融資を受ける
↓
経営が苦しい会社の売掛金では担保にならない。
入金が遅れている理由をはっきりさせ裏をとる。 銀行を納得させる。 - スピードローン
審査2日で融資が実行される。そのかわり金利は高めで、10%くらい。但し、スピードローンで借りた金はスグ返さなければいけません。 - 仕入先に手形ジャンプのおねがい
おススメできませんが、手形の支払を待ってもらう・・・・。相手が手形を他へ回したり、割引いてしまったらNGですが。 - ぜったいスグ返せるなら消費者金融の商工ローン
10日前後で入金予定の原資があればいいけど、できれば、ここらに手を出さないように。 返済が長びくようなことになれば返済できなくなります。金利が高すぎる。ここまできてしまっていたら、10日で返せるワケないので倒産させてしまった方がいいかもしれません
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