事業計画書の作成方法
事業計画と事業計画書の4ポイント
事業を始めるにあたっては、まず事業計画を立てなければなりません。事業計画というと難しく聞こえるかもしれませんが、どのような目的でその事業を始めるのか、それを実現するにはどのように進めていけばよいのかを整理した、いわば事業の舵取りのようなものです。
事業計画がしっかりできていないと、目的は何なのか、どういう方向性なのかが不安定なまま事業を進めていくことになりますし、融資を受けようとする金融機関など第三者にも理解してもらうことは困難になります。
分自身のためにも、第三者の協力を得るためにも、事業計画はきちんと立てておきましょう。
事業計画書とは
事業をいかにして実現していくかを表したものが事業計画書です。事業計画書を作成することによって、事業を客観的に見ることができますし、実現のために具体的に何をすべきかが明確になります。
事業計画書は、金融機関や事業の協力者への説明の際に必要となります。また、説明する必要がない場合であっても、自分の事業が本当に実現可能なのかを確認する意味で、事業計画書の作成は必要不可欠です。
事業計画書はざっと目を通しただけで理解できることが大事ですので、わかりやすくポイントを押さえた計画書にしなければなりません。
以下の4つの点に留意すれば、魅力的な事業計画書を作成することができます。
(1)ひと目で全体像がつかめるように目次や総括表をつける
(2)平易な文章で書き、業界用語や専門用語などには語彙の説明をつける
(3)チャート図・グラフ・図解・写真など、ビジュアル的な加工をする
(4)具体的資料(特許申請書、販売実績権の契約書など)があれば添付する
事業計画書作成の目的
事業構想の整理
経営者が自ら思い描く事業プランについて、現実的に把握することができます。実際に書面に記すことで漠然としていた経営課題が明確になり、実現性や市場性について客観的に把握することができます。また、外部の第三者からアドバイスを受けることも可能です。
金融機関など外部への説明材料
金融機関から事業資金の融資を受ける際に必要になります。特に、新規開業の場合は過去の経営成績を示す資料(決算書等)はありませんから、なおさら重要になります。
どういう事業計画書を作るのか?
事業計画書は、「読みやすく」「解りやすく」「的確な文章」で作り上げる必要があります。協力者相手なら、専門用語を用いた説明で通じたとしても、融資を受け付ける機関の担当者は、専門技術に関しては素人です。誰が読んだとしても、判りやすい内容の事業計画書にしましょう。
さらに、「誰に」「何の目的で」読ませるのかを意識して作成しましょう。融資目的であれば、収支予測をきちんと行うことと返済計画をきちんと立てること、協力者向けのものであれば、市場状況や将来性、ニーズなどをアピールしましょう。
事業計画書に一定の書式はありませんが、ここでは融資を受ける際に必要だと思われる項目を含めた事業計画書の作成方法を紹介します。
融資を受けるための事業計画書は、自分の持つ能力を解りやすく、誇張することなく正しくアピールし、事業の優れているところを強く伝えましょう。
また、数字で示す場合には、必ず裏付けとなる根拠を示すようにしましょう。
「なんとなくこれぐらいだろう」では、融資担当者を納得させることはできません。
事業の全体構想について
どういう目的で何をやりたいかをはっきりさせます。事業に対する考え方や熱意、将来的な事業展開を説明します。
起業の動機
どうして起業しようと思ったのか。
事業の概要
どのような事業をいつから開始するのか。
市場環境
これから始める事業の市場規模、将来性、事業を取り巻く環境等を調べ、事業内容の裏付けとします。
事業の将来目標
長期と短期(向こう3年間)に分けて、スタートラインと将来的なビジョンはどのようなものか。
現在の課題
現在抱えている問題点とその対処方法。
事業内容について
提供する商品、サービス、技術またはそれらの提供方法にどのような特徴があるのか、そして対象とする顧客のニーズにいかにマッチしたものであるかを分かりやすく説明します。
事業内容
事業の概要を更に発展させて、事業内容を具体的に書き出します。
特色(セールスポイント)
自分の会社のセールスポイントをアピールします。既存の同業他社との差別化をはかると、よりアピールできます。
営業戦略
「誰が、誰を対象に、何を、どのように事業を行う」かを説明する、事業計画書の骨格となる部分です。判りやすく的確にまとめあげましょう。
- 基本方針
当初どのような指針の元に営業活動をしていくのかを決めます。 - 販売ターゲット
どのような顧客層へ向けて営業活動を行っていくのかを定めます。 - 販売ルート
どういう販売ルートを使うのかも検討します。 - 販売価格
大体の商品の販売価格を決めます。
仕入れ計画
「何を、どこに、どのような条件で製造(仕入れ)」して行く計画なのかを説明します。企業運営にまつわる問題なので、事業計画書の中でも重視される項目です。
- 仕入れ先を検討します。
- 仕入れ価格・原価を出します。
開業時設備投資計画
- 基本方針を決めます。
- 事務所・店舗・工場等
自社の業態及び資金を配慮して最適な立地条件・広さ・家賃等を検討します。 - 備品・設備・内装等
採用計画
- 当初は何人から始めるのか
- 正社員かパートか
- 人件費の概算
開業時資金計画表
起業と事業に必要な資金の合計と、自己資金の割合、資金調達方法などを説明します。
設備資金
- 事務所・店舗・工場等の入居時費用(敷金・保証金等)
- 設備費用(機械・パソコン・什器類等)
- 内装費
運転資金
- 仕入代金
- 光熱費・人件費等の固定費
資金調達方法
- 自己資金
- その他
損益計画表
売上げ、必要経費、利益など、経理に関する項目を説明します。創設当初と、事業が軌道に乗った後の両方の収支予測を立てます。
開業年を含め3年分を作成
①売上高(予測)
②売上原価(原価率を掛ける)
③売上総利益(売上高ー売上原価)
④経費合計(人件費+家賃+減価償却費+支払利息+通信費その他)
⑤利益(売上総利益ー経費合計)
⑥減価償却費
⑦返済可能額(利益+減価償却費)
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