法人化のメリット・デメリット~個人事業とどちらが得?
課税所得に対する税率
事業を始めるにあたって、最初に悩むのが、法人で始めるか個人事業で始めるかということだと思います。
それぞれにメリット、デメリットはあります。
税金面でいうと、個人の場合は儲けに対して所得税、法人の場合は法人税を支払わなければなりません。所得税は累進課税のため、所得が大きい人は税率も高くなります。一方、法人税は一律になります。ここでは、その課税所得に対する税率を見てみましょう
個人事業の課税所得に対する税率
年間所得金額 |
所得税率 |
330万円以下 |
10% |
330万円超~900万円以下の部分 |
20% |
900万円超~1,800万円以下の部分 |
30% |
1,800万円超の部分 |
37% |
法人事業の課税所得に対する税率(※資本金1億円以下の場合)
年間所得金額 |
法人税率 |
800万円以下 |
22% |
800万円超の部分 |
30% |
※平成23年4月1日以後に開始する期からは、30%⇒25.5%
18% → 15%(中小企業の所得800万円以下の部分)
となります。
一概にはいえませんが、税金面だけを考慮すると、一般に利益が800~1,000万円を超えると法人にしたほうが有利であるといわれています。
法人の節税
1)給与所得を経費にする
個人事業の場合は、事業主への給料は必要経費にできません。したがって、売上から必要経費を引いたものが事業所得となり、事業所得へ課税されます。
これが、法人になると、事業主への給料が経費にできます。そして、給与所得になると給与所得控除があり、年収となる金額の一定割合が自動的に控除されます。この控除分が、節税となります。
2)所得を個人と法人に分散する
個人事業の所得(利益)は、事業所得のみとなりますが、法人では、利益を役員報酬と会社の利益とに分けることができます。それぞれの税率が低くなるように、給与を設定すれば、トータルの税負担を軽減することができます。
3)事業主の福利厚生費が経費にできる
法人契約の生命保険を利用して、事業主の退職金を準備できます。個人事業では、事業主の福利厚生費は、必要経費にできません。
しかし、法人だと、経営者を被保険者として法人契約の生命保険へ加入、これを経費にすることができます。さらに、個人で加入する生命保険は、所得控除の対象となりますから、節税しながら効果的にリスクへ備えることが可能になります。
法人のメリット・デメリット
税対策以外にも法人にはメリットがあります。
- 個人よりも社会的信用が高い。
- 法人でしか取引してもらえない会社もある。
- インターネットでのドメイン(co.jp)が取得できる。
法人のデメリット
事業売上が大きくなれば、法人のほうが確実に節税効果は高くなります。しかし、法人には、次のようなデメリットもあります。
- 設立手続きに費用がかかる。
- 社会保険への加入が強制。
- 運営コストが高くなり、売上不振時には、資金繰りが大変になる
- 経理処理や税務申告が、個人事業より複雑になる
- 赤字でも、7万円の納税(法人住民税均等割分)が必要。
~節税対策のポイントコラム~