所得税控除 ~別表1、別表4
所得税の控除とは?
法人が受ける利子、配当、給付補填金、賞金などに対しては、所得税法又は租税特別措置法等の規定により、所得税が源泉徴収されます。この利子、配当なども法人の所得金額を構成し、法人税が課税されます。
つまり、同じ国税である所得税と法人税が二重に課税されることになってしまいます。
そこで、法人が源泉徴収された所得税を、法人税の前払的性格を有するものと考え、この所得税と法人税の二重課税を排除するため、源泉徴収された所得税額を、法人税額から控除することにしています。これを所得税額控除といいます。
所得税額控除の制度の内容は、別表1における取扱いと別表4における取扱いとに分かれます。
別表1と別表4
所得税額の控除(別表1)
利子及び配当等に課される所得税額のうち、一定額を法人税の額から控除し、控除しきれない金額は還付されます。
所得計算上の取扱い(別表4)
所得税額控除の適用を受ける所得税額を損金不算入とします。
所得税額控除の適用を受ける所得税額は、一旦、所得金額をグロスアップ(税引前の金額に戻すこと)し、税額控除することにしています。
したがって、当期利益の計算上、費用に計上されている所得税額は、別表4で法人税額控除所得税額として加算されます。
(別表4の『法人税額控除所得税額』と別表1の『控除所得税額』は、同一金額が記載されます)
(住民税利子割額)
利子や収益分配金については、所得税とともに住民税利子割(道府県民税)が源泉徴収され、税額控除する所得税額と同様に、損金不算入とされ、別表4で『損金計上住民税利子割額』として加算されます。
住民税利子割額は、住民税の計算上で税額控除するため、法人税の別表1では税額控除しません。
(名義書換失念株の配当金に係る所得税額)
株主としての地位に基づいた配当金ではないため所得税額控除の対象となりません。
(源泉徴収制度とは?)
源泉徴収制度は、国の歳入の確保、徴税技術上の便宜を図るなどの目的のために設けられています。
この制度は、法人が受ける利子、配当などに対して、その収入金額の一定額を源泉徴収するもので、企業会計上は、費用(又は収益からの控除)として処理されます。
源泉徴収税額の内訳
(1)利子又は公社債投資信託の収益分配金
‥‥所得税15%・道府県民税(住民税利子割額)5%
(2)配当、特定株式投資信託又は外国株価指数連動型特定株式投資信託の収益分配金
‥‥所得税15%(他に地方税5%)の税率が適用されます。
(3)証券投資信託((1)及び(2)を除く)の収益分配金
公募‥‥所得税7%
公募以外‥‥所得税20%