人材紹介事業、求職者の均等待遇と個人情報保護
1.求職者の均等待遇
職業紹介事業者は、全ての利用者に対し、差別的取り扱いをしてはいけない事になっています(職業安定法第3条)。
具体的には、職業紹介事業者は全ての利用者に対し、その申込の受理、面接、指導、紹介等の業務について、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員である事などを理由として、差別的な取り扱いをしてはならないことになっています。
2.求職者の個人情報保護
職業紹介事業者はその事業をするにあたって、個人情報を管理する事になります。昨今の個人情報保護の流れの中で職業紹介事業者にも適切な個人情報の管理が要求されています。
個人情報とは
個人情報とは、個人に関する情報であって、特定の個人を識別する事ができるものをいいます。さらに、他の情報と照合する事により特定の個人を識別する事ができることとなるものをも含みます
個人情報の収集
原則として、業務の目的を達成するために必要な範囲を超えるものは収集できません。したがって、次のような個人情報は収集できません。
- 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となる恐れのある事項
具体例:家族の職業、収入、本人の資産等の情報(税金、社会保険の取扱等労務管理を適切に実施するために必要なものを除きます) - 思想及び信条
具体例:人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書 - 労働組合の加入状況
具体例:労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報
但し、特別な職業上の必要性があること等、業務の目的を達成するために不可欠であり、且つ収集目的を示して本人から収集する場合は、例外的に収集可能です。
個人情報の保管及び使用
収集した個人情報を目的外に使用することはできません。 但し、本人の同意を得た場合又は他の法律に定めのある場合には例外的に収集目的の範囲外で使用することができます。
個人情報の管理
・ 職業紹介事業者は求職者等の秘密に該当する個人情報を知った場合には、その個人情報が、正当な理由無く他人に知られることの無いよう、厳重な管理を行わなければなりません。
具体的には、正当な権限を有しない者による個人情報へのアクセスを防止するための措置や、収集目的に照らして、保管する必要がなくなった個人情報を破棄、または、削除するための措置をとる必要があります。
・ 職業紹介事業者は、次に掲げる事項を含む個人情報の管理規定を作成し、自らこれを遵守するとともに、その従事者にもこれを遵守させなければなりません
- 個人情報を取り扱う事ができる者の範囲に関する事項
- 個人情報を取り扱う者に対する研修などの教育訓練に関する事項
- 本人から求められた場合の個人情報の開示又は訂正・削除の取扱に関する事項
- 個人情報の取扱に関する苦情処理に関する事項(苦情処理の担当者等取扱責任者を定める必要があります)
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