経理処理による節税
経理規程を作成する
節税を行うためには、経営者は現在の会社の状況をいつも把握しておくことです。
会社の売上がいくらあり、費用がどれだけかかったのかを正確に把握しておかなければ節税することは不可能です。
経理規程を作成する
経理規程とは、会社の経理の処理方法をまとめたものです。
年度が変わるたび、経理担当者が変わるたびに、経理の処理方法が変わってしまうと、会社の経理業務の統制が取れなくなってしまいますし、年度比較することが困難になってきます。
また、会社によってイレギュラーな取引が存在する場合、処理方法を決めておかないと間違った仕訳のまま決算期日を迎えてしまうことにもなりかねません。
棚卸資産の評価方法
棚卸資産の評価方法には原価法と低価法があります。
※選択しなかった場合の法定評価方法は最終仕入原価法による原価法です。
原価法
原価法とは、棚卸資産の取得に際し、実際購入原価もしくは実際製造原価で会計帳簿に記録し、期末棚卸資産価額も実際購入原価もしくは実際製造原価で評価する方法です。
具体的な評価手続の方法としては、個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法、単純平均法、最終仕入原価法、売価還元法があります。
低価法
低価法とは、棚卸資産の取得に際し、実際購入原価もしくは実際製造原価で会計帳簿に記録し、期末棚卸資産価額は実際購入原価もしくは実際製造原価と時価のいずれか低い方の価額で評価する方法です。
棚卸資産の評価方法は、低価法を選択すると節税になる可能性があります。期末棚卸額が大きいほど、会社にとっては利益となり税金が多くなります。ですから、低価法を選択することによって、棚卸資産の価額を低く評価することができ節税することができるのです。
ただし、低価法が評価方法として認められない業種・業態があります。(取引価額が不透明な業種や業態や市場から認知されていない、新興商品などの時価の判定が難しいもの)
固定資産の減価償却方法
固定資産の減価償却方法は定額法と定率法があります。会社がどちらを選択するかは自由です。実際にどちらが税務上有利になるのかを検討してみましょう。
定額法
固定資産の取得原価からその残存価額を控除した金額を耐用年数で均等按分する方法です。平成10年度の税制改正により、建物の償却に関しては定額法しか認められていません。
定率法
固定資産の期首残高に毎期一定の償却率を乗じて期末残高を算出し、その差額を減価償却費として計上する方法です。
使用を開始した時期に近ければ近いほど償却額が大きくなり、離れれば離れるほど小さくなっていきます。
もし、会社が有形固定資産の償却方法の届出を出さなかった場合、自動的に定率法が適用されます。どちらの償却方法を使ってもトータルでの減価償却費は変わりませんが、節税のためには、定率法を使うのがよいでしょう。早期に償却費を計上することによって節税効果が高くなります。
ワンポイント!
最初に利益が多く出そうな時には定率法が有利ですが、事業が順調になるのに時間がかかるような場合は、償却費の予想がしやすい定額法がいいでしょう。
固定資産台帳の管理
固定資産台帳のこまめなチェックも節税には重要です。
固定資産台帳には、その会社が保有している資産の全てが記載されているものですが、よく見てみると現在は保有していない資産も載っていることがあります。
また、保有している資産が載っていないということもあります。
保有していない資産が記載されている場合
現在保有していない資産が固定資産台帳に記載されている場合、その資産について除却損という損金を計上することができます。この処理を行うことによって、節税につながります。
保有している資産が記載されていない場合
本来資産として記載していなければならないものが記載されていないと、税務調査等で指摘される可能性が高くなります。一番多い間違いのケースとして、資産計上すべきものを経費として一括処理してしまったということが考えられます。
この場合、修正申告などの手続きを経て、追徴課税されることもあります。つまり、会社にとっては余計な税負担が増えることになるのです
以上のことから、固定資産台帳の管理はこまめに行い、間違いのないように記載するようにしましょう。