有料職業紹介事業を始めるために必要なこと
1.有料職業紹介事業計画の立案
職業紹介事業に限りませんが、事業においては、当然に「意外なコスト」というものが、発生するものです。経験の無い分野に新たに進出する際には、なおさら、このことが言えます。しかし、「漕ぎ出してみないとわからない」ではリスクがあまりに大きすぎます。
有料職業紹介事業においては、「どの程度、利益としての手数料をとってよいのか(手数料を自由に設定したい場合には届出が必要です)」や「手数料を求職者から取る事が可能な職種・不可能な職種」であるとか「何%まで手数料をとってよいか」などの事業計画を立案するにあたって、決めておかなければならない重要な部分について職業安定法に定めがあります。
ですから、この手数料についての規定についての知識が無いと、事業計画を立案する事自体が難しいものになります。
>>手数料(売上)について
また、有料職業紹介事業においては、取扱い職業の範囲が限定されています。具体的には、港湾運送業務につく職業、建設業務につく職業などは職業紹介の範囲外となります。一方、無料職業紹介事業においてはこのような限定はありません。
さらに、取扱い職業の範囲を届け出なかった場合は、事業所で取り扱う職業の範囲が、全職業を対象とするものとなってしまいます。これは一見、様々な職業について扱う事が可能になるのですから業務の幅が広がって有利になったとも思えますが、その反面、あらゆる職業についての求人・求職を受けなければなりません。そこで、取り扱う職業について「取扱職業の届出」をしておく事により届出範囲のみについての求人・求職を受け付ける事が可能になります。
自社の経営戦略として、業種について専門特化するのか?地域を絞って活動するのか?グローバルにすべてを対象とするのか?など、考慮し、計画しなければなりません。
2.人材紹介事業のための事業所等の準備
有料職業紹介事業をするにあたっては、事務所は風俗営業が密集するなどの人材紹介事業の運営に好ましくない場所にないことや、事業所はおおむね20㎡以上あることが必要とされています。また、個人情報の記載された書類などを保管するための施錠可能なキャビネット等も必要です。これは、登録に来た労働者に威圧感を与えないためや、個人情報保護のために規定された条件です。
また、事業所の賃貸契約は、有料職業紹介事業許可を取得しようとする事業者でなければなりませんので、代表取締役などが個人名義で借りている事務所を、法人の有料職業紹介事業の事業所として利用することはできません。どうしても、そこで事業を開始したいのであれば、賃貸契約書の賃借人の変更をするか、または、法人の使用許可を賃貸人からもらうこと(転貸可能であれば)が、必要になります。
3.職業紹介責任者講習の受講について
職業紹介事業者は、自己の雇用する労働者の中から、事業所ごとに当該事業所に専属の「職業紹介責任者」を選任しなければなりません。そして、この「職業紹介責任者」は、職業紹介にかかる業務に従事する者50人あたり1人以上を選任しなければなりません。
「職業紹介責任者」の主な役割は以下のようなものがあります。
- 求人者又は求職者からの苦情を処理する事
- 求人者の情報及び求職者の個人情報の管理
- 職業紹介責任者となろうとする者は、申請前に、職業紹介責任者講習を受講しなければなりません。この講習の受講は、事業主管轄労働局による申請の受理の日の5年以内のものに限られます。
講習会は、大変混み合っているため、1,2ヶ月先の講習会にしか参加できないこともあります。申請後、ほぼ1ヶ月以内に講習会受講できる場合には、必ず受講することを約束し(受講後、修了証書を追加提出します)、申請をすることができる場合がありますので、ご相談ください。
また、許可取得を予定している場合は、なるべく早いうちに受講しておくようお勧めします。
>> 「職業紹介責任者講習会」申し込み
>> 有料職業紹介責任者の要件
4.有料職業紹介事業許可申請書類等準備と申請
所定の書類をその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局を経由して、厚生労働大臣に提出します。(有料職業紹介事業を行う事業所がある県の労働局に提出します。事業所ごとに許可が必要です)
>> 有料職業紹介許可申請のページ で、詳しく解説しています
>> チェックリスト で、許可要件を説明しています
申請後に、実際の事業所を労働局の職員がチェックしにきます(突然の訪問ではなく、事前に連絡があり、都合の良い日に来てもらうことになります)
5.許可証の受領
許可がおりますと、許可証を労働局で受領し、有料職業紹介事業を開始することができます。登録免許税9万円については、許可申請時におさめます。
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