製造業請負コラボレート(人材派遣クリスタルグループ)
偽装請負で業務停止命令
1.実態と労働局の見解 【偽装請負】
実際の労働形態は『一般労働者派遣』なのに、『請負契約』を装って、違法な「偽装請負」を繰り返したなどとして、大阪労働局は3日、京都市の大手人材派遣「クリスタル」グループの製造業請負「コラボレート」(大阪市)に対し、労働者派遣法に基づき事業停止命令を出しました。
偽装請負を理由として事業停止命令が出されるのは全国でも初めてのことです。
労働局によると、コラボレートの姫路営業所(兵庫県)が請負契約を結んで加古川市の工場で実施している事業は、実態は労働者派遣事業に当たると判断しました。
>> 業務請負とは?
2.業務停止命令内容
姫路営業所が10月4日から11月3日までの1カ月間、
その他のすべての営業所が4日から17日までの2週間の業務停止命令
新たにメーカーなどに労働者を派遣できない
3.社会保険加入の観点から
今年9月には、社会保険庁が全国的に業務請負業界の実態調査を行っていました。工場で働く請負労働者の多くが正規の社会保険に入っていません。この業界では保険料負担を免れるための加入漏れが目立ち、請負業界全体の社会保険未加入者は10万人単位ともいわれています。社会保険庁では、製造業の現場で横行する偽装請負も未加入の一因になっていると見ていました。
低賃金で不安定な雇用形態では、健康保険や厚生年金保険に入らない人が多いといわれますが、実態ははっきりしていません。このため、社会保険庁は今年度から全国の社会保険事務所を通じて請負や派遣労働者の人数や勤務実態を調べています。
この業界では、保険料負担を避けるため加入させない例が後を絶たないが、労働者側にも問題はあるようです。保険料が月額数万円になるため、労働者自身が加入を断っている現状があります。大手請負業者は「加入を勧めると、やめて中小業者に移る人もいる」と漏らしているようです。
社会保険庁が未加入対策を強化する背景には、昨秋、会計検査院に「調査や指導が不十分」と指摘されたという事情もあります。業界内には「事務手続きが膨大で、全員加入には時間がかかる」との声もあり、改善が順調に進むかは不透明なところです。
健康保険や厚生年金保険は請負や派遣、パートといった非正規労働者でも、雇用期間が2カ月以上など一定の条件を満たせば、正社員同様に雇用主が加入させる義務を負いますが、保険料は原則的に雇用主と労働者が折半して負担することになります。違反すると6カ月以下の懲役などの罰則もあるのですが、摘発された例はほとんどありません。
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