効率よく経費を使ってするためには現金が必要
経費を使うためにはキャッシュが必要
「税金で持っていかれるなら経費として使ってしまおう」と思うことがあると思います。
期末近くになって、予想以上に利益が大きくなった場合、会社の備品を買ったり、社員に臨時ボーナスとして還元したりして、損益計算書の利益を少なくし、支払う税金を少なくすることはよくあることです。
しかし、「勘定合って銭足らず」という言葉があるように、帳簿上では利益になっていても現金として存在していない場合があります。
これは、帳簿に計上するタイミングと手形や売掛金を回収するタイミングにタイムラグがあることにより起こります。
資金繰りが苦しくなる、つまりキャッシュが手元にない状態では、節税は上手くいきません。なぜなら、経費を使うためにはキャッシュが必要だからです。
会社が効率よく節税するためには、資金繰りをよくする必要があります。
資金繰りをよくすれば、期末近くになって利益が予想以上に上がっても、必要な経費を上手く使い、節税を図ることができるのです。
資金繰り予定表の作成
資金繰り予定表とは、今後数ヶ月先の現金の出入を一覧表にまとめたものです。
この資金繰り予定表を作成することで、資金の予定を一目で把握することができます。そのため、将来のどの時期でキャッシュが足りなくなるかを把握できます。そして、事前に金融機関と交渉して資金調達を行ったり、支払を一部遅らせたりすることで、上手く資金繰りが行えるようになるのです。
もちろん、税金の支払は現金で行いますので、この予定額も資金繰り予定表で管理することになります。
資金繰りを厳密に管理することで、節税もスムーズに行えるようになるのです。
節税になる経費・ならない経費
決算間際に大きな支出をして節税しようとする場合には、注意しなければならない点がいくつかあります。
資産計上しなければならない
税法上、10万円以上のものは資産計上しなければなりません。つまり、経費ではなく資産となるのです。したがって、一度に経費にすることは出来ず、減価償却費という形で、耐用年数で償却していくことになります。
非減価償却資産もある
時の経過により価値の減少しない資産もあります。代表的なものは土地です。「利益が出たから土地を買う」というのは資産運用であって、節税にはなりませんので注意してください。
税務調査で注目される
税務調査が行われる場合、限られた時間で不正や間違いを見つけるためには、大きな支出を中心に調べる傾向があります。大きな支出をする場合には、見積書や契約書、領収書などの説明資料を揃えて、実際に支払のあったことなど取引資料を明示し、明細を明らかにして帳簿を作りましょう。
ワンポイント!
資産購入それ自体は経費にならなくても、諸経費を損金処理することが可能な場合があります。車両などを購入した場合、自動車取得税などの付帯費用は損金処理ができます。請求書や見積書をよく見て、経費で処理できるものがあるかどうか確認してください。