私文書偽造罪、私文書変造罪、行使・無印・電磁的記録の罪刑法159条~161条の2)
- 私文書偽造罪・変造罪、無印私文書偽造偽造罪(刑法159条)
- 虚偽診断書等作成罪(刑法160条)
- 偽造・変造・虚偽私文書行使罪(刑法161条)
- 電磁的記録不正作出罪・不正作出電磁的記録供用罪(刑法161条の2)
私文書偽造の罪(刑法159条~161条の2)の保護法益は、「文書(電磁的記録も含む)に対する社会一般の信用」です。
私文書偽造罪、私文書変造罪、行使・無印・電磁的記録の罪(刑法159条)
刑法159条 条文
行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
2 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3 前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
私文書偽造罪の構成要件と時効
使うことを目的として、
- 他人の本物の印章・署名を使って、権利・義務又は事実証明に関する文書・図画を偽造
- 偽造した他人の印章・署名を使って、権利・義務又は事実証明に関する文書・図画を偽造
することによって成立する罪です。
「権利義務・事実証明に関する文書・図画」とは、
契約書、請求書、示談書、遺言書、車庫証明の車庫図などの文書や図画
私文書偽造罪の公訴時効は、5年
私文書変造罪の構成要件と時効
他人が押印したり署名した、権利・義務又は事実証明に関する文書・図画を変造することによって成立する罪です。
「権利義務・事実証明に関する文書・図画」とは、
契約書、請求書、示談書、遺言書、車庫証明の車庫図などの文書や図画のこと
私文書変造罪の公訴時効は、5年
無印私文書偽造・変造罪(刑法159条3項)の時効と要件
他人の押印・署名のない権利・義務又は事実証明に関する文書・図画を偽造したり変造したりすることで成立する罪です。
押印・署名が無いという点のみ異なり、他は、私文書偽造罪(159条)、私文書変造罪(159条2項)と同じ要件で成立します。
無印私文書偽造・変造罪の公訴時効は、3年です。
虚偽診断書等作成罪(刑法160条)
刑法160条 条文
医師が公務所に提出すべき診断書、検案書又は死亡証書に虚偽の記載をしたときは、3年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。
虚偽診断書等作成罪について
医師が公務所に提出するための診断書、死体検案書、死亡診断書に虚偽の内容を記載することによって成立する罪です。
虚偽診断書等作成罪の時効
虚偽診断書等作成罪の公訴時効は、3年です。
偽造・変造・虚偽私文書行使罪(刑法161条)
刑法161条 条文
前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
偽造・変造・虚偽私文書行使罪の要件
私文書偽造、私文書変造、虚偽私文書作成など刑法159条、160条の罪(私文書偽造罪(刑法159条)、私文書変造罪(刑法159条2項)、無印私文書偽造・変造罪(刑法159条3項)、虚偽診断書等作成罪(刑法160条))によって作成された文書・図画を、正しいもののように見せかけて、使うことによって成立する罪です。
使うことによって成立しますので、作ったのは別の人としてもこの罪は成立します。
また、未遂は罰せられます。
偽造・変造・虚偽私文書行使罪の時効
偽造・変造・虚偽私文書行使罪の公訴時効は、有印の文書は5年、診断書は3年、無印の文書は3年です。
電磁的記録不正作出罪・不正作出電磁的記録供用罪(刑法161条の2)
刑法161条の2 条文
人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
3 不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
4 前項の罪の未遂は、罰する。
電磁的記録不正作出罪について
人の事務処理を誤まらせる目的で、その事務処理に利用する権利義務又は事実証明に関する電磁的記録を、不正に作ることによって成立する罪です。
また、この電磁的記録が、公務所又は公務員によって作られるべきものであるときは、罰がより重いものになっています。
cf。支払用カード等電磁的記録不正作出罪(刑法163条の2)
電磁的記録不正作出罪の公訴時効
公訴時効は5年、公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録の場合は7年です。
不正作出電磁的記録供用罪について
不正に作られた権利・義務又は事実証明に関する電磁的記録を人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理に利用させることによって成立する罪です。
未遂罪も罰せられます。
不正作出電磁的記録供用罪の時効
不正作出電磁的記録供用罪の公訴時効は、5年、公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録の場合は7年です。
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