告訴時効・公訴時効
時効期間の計算方法(刑事訴訟法55条)
原則的な時効の計算
刑事事件関連の期間計算は原則初日不算入です。
刑事訴訟法では、期間の計算をするときは、初日不算入の原則にそって計算します。
例)犯人を知った日から6ヶ月とは、6ヶ月の起算日は知った日の翌日ですから、1月3日に犯人を知った場合、1月4日から数えて6ヶ月目は7月3日となります。
例外的な時効の計算
初日が午前0時から始まる場合と、公訴時効の期間を計算する場合の2つの場合は、初日を1日目として期間に繰り入れます。
告訴時効-親告罪
(原則)
犯人を知った日から6ヶ月(初日不算入)が経過するまでです。6ヶ月経過後の告訴は無効となります。告訴権者が2人以上いる場合は、ひとりの告訴期間が過ぎても他の者の告訴権には影響しません。
もちろん、公訴時効が完成した後には告訴できませんから、公訴時効が完成するのがいつなのかということも念頭に置いて早めに告訴しましょう。
(例外)
国の代表者が行う告訴・日本に派遣された外国使節に対する名誉毀損罪・侮辱罪(刑法230、231)についてその使節が行う告訴は、告訴期間の制限がなく、公訴時効が完成するまで、いつでも告訴が可能です。
(特則)
略取又は誘拐された後、その犯人と婚姻した者がする告訴は、婚姻の無効・取消しの裁判が確定した日から6ヶ月以内(初日不算入)とされています。
公訴時効-非親告罪
公訴時効とは
公訴時効とは、警察や検察が犯人を調べて裁判にかけることができる期間の時効のことです。
- 非親告罪
- 告発
- 親告罪の中でも外国君主・大統領・使節への名誉毀損罪、侮辱罪
上記3つに分類される罪は、告訴期間の制限がなく公訴時効の完成まで、いつでも告訴・告発することができます。
しかし、公訴時効期間ギリギリに告訴・告発しても、起訴に間に合いません。告訴や告発をしてから警察や検察が受理し、調べをし、その後に起訴ですから、処罰してほしいと思うなら、なるべく早く告訴・告発しましょう。
また、公訴時効とよく勘違いされるのが告訴時効です。告訴時効とは、親告罪において「告訴ができる期間」のことで、犯人を知った日から6ヶ月経過までとされています
公訴時効期間の一覧
各罪によって、公訴時効は異なります。 以下の順で、時効期間を調べます。
- 該当する犯罪の法定刑を調べる。
例)窃盗罪 → 刑法235条
傷害罪 → 刑法204条 - 刑事訴訟法第250条に規定されているもののどれにあてはまるか確認する
人を死亡させた場合
- 死刑に当たる罪は時効廃止
- 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については30年
- 長期20年の懲役又は禁錮に当たる罪については20年
- 前2号に掲げる罪以外の罪については10年
- 死刑に当たる罪については25年
- 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については15年
- 長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については10年
- 長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年
- 長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年
- 長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年
- 拘留又は科料に当たる罪については1年
公訴時効の期間計算
刑事訴訟法では、期間の計算をするときは、初日不算入の原則にそって計算しますが、公訴時効の期間計算の場合は、その例外となり、初日を1日目とする「初日算入」で期間を計算します
刑罰の種類
公訴時効を知るには、刑罰の種類と内容も知っておいたほうがいいですね。刑法9条で定められている刑罰には、以下のようなものがあります
- 死刑
生命を絶つ極刑(生命刑)と言われるものです - 懲役
強制作業が課せられ、自由を拘束する刑(自由刑)のこと。無期と有期があるが、有期の場合は原則1ヶ月以上~15年以下。例外として、7日~20年となることもあります。 - 禁錮(きんこ)
強制作業はありませんが、自由を拘束する刑(自由刑)のこと。懲役と同様に無期と有期があり、有期の場合は原則1ヶ月~15年以下。 例外として7日~20年になることもあります。 - 罰金
金銭の納付を命ずる刑(財産刑)。1万円以上。納付しない場合は、労役場に留置されます。 - 拘留(こうりゅう)
強制作業もなく、拘束期間が1日以上29日以下と短いのが特徴です。(自由刑) - 科料(かりょう)
金銭の納付を命ずる刑(財産刑) 。1000円以上1万円未満。納付しない場合は、労役場に留置されます。 - 没収(付加刑)
付加刑。上の科料以外の刑にプラスして科す刑であり、没収のみの単独での刑罰はありません。 また、没収すべき金品を没収できない場合は、その価格相当分の金銭をとりあげる追徴という処分があります。
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